茅葺きの作り方

先週に引き続き茅葺きの作り方です。

 

茅葺きの屋根の作り方は、まず小屋組から始まります。

 

桁行方向を大平、梁間方向を小平と予備、茅葺きの多くは和小屋ではなく扠首組の合掌で造られます。勾配は10寸勾配45度以上にします。扠首は丸太を使い6尺ピッチぐらいに組み棟木を上部のV字型の部分に取り付けます。 次に竹で屋中(やなか)と言われる横木を1.5尺ピッチぐらいに取りつけます。屋中は1本の事もありますが2本の竹で組まれる事もあります。

 

軒先は小尻がためと呼ばれる1寸5分から1寸8分ほどの太さの竹を6から7寸ピッチで組補強をします。 扠首や屋中などの取り付けは全て縄が使われますが、最近の吹き替えでは縄の変わりに1.6mmの太さの針金などが使われます。

 

小屋組が出来た所で次は茅を葺いていきますが、まず茅置き場としても使用できるように軒先の高さで足場を組みます。 屋根下地を組み上げた後は、軒の補強と化粧を兼ねた、よしを葺いたりやヨシズを付けたりします。

 

軒先に使う茅はミズキリ作り(オシギリ作業)と呼ばれる軒先に使う丈夫な茅を作る為にそろえた茅を切る作業がおこなわれます。

 

そしていよいよ葺いて行きますが、茅も瓦と同じく軒先から葺き始めます。

 

まず軒付け(ミズシタ) という作業で、茅を押鉾(オシホコ)という竹で隙間無く入念に締め付けて並べていきます。その他の茅葺きの道具としては、はりとじ、がんぎ、屋根ばさみなどの専用の道具が使われます。 軒付けが終わると平葺きをしていきます。茅を並べて竹で押さえて縄で締めます。長さの異なる茅束を4層重ねてこれを1鉾(ヒトホコ)と呼びます。1鉾は外側におしがやと呼ばれる長い茅、次に古い茅、こがやと呼ばれる短い茅、そしてもう一度古茅という風に4層にして使用します。1鉾終えるとアルキボウと呼ばれる足場を取り付けて1段上に上がり作業を進めます。

 

茅の厚みは45cm以上葺きます。屋根面積1坪あたりの重量は約230kgになります。雨が降ると茅は水を吸いますので瓦以上の加重が実はあります。それを扠首組という構造と丸太や竹のバネのようにしなる特徴を活かして加重を支えているのです。

 

上場迄茅を葺き終わると次は棟造りです。 屋根の頂上に水が入らないように杉皮でふたをし、茅や杉皮を重ねて竹をのせて締めます。その後ものし状にした竹などを使い入念に縄で絞めて作ります。 棟の木口をガクといい、 棟の側面に文字を入れるなどの装飾が施されます。家人の希望により「寿」や火防のための「水」などの文字をハサミで刻み、目立つように墨を入れます。周囲には白く彩色した篠竹(シノダケ)など入れて飾ります。

 

庄屋屋敷などの大きな茅葺きの場合、神社の屋根にあるようなX形の木材の飾りが棟の上に付けられます。 千木(ちぎ)です。 千木は奇数で付けられ偶数はありません。古来中国では偶数が縁起のいい数なのですが、日本では奇数が縁起のいい数と正反対になっています。農家の置千木は、うま、うまのり、くら、くらかけなどとよばれ千木の数は3、5、7などになります。庄屋屋敷は9対上げられます。 茅葺きの最後の工程は軒先の刈込です。

 

「燕と屋根屋は軒で鳴く」とも言われ、仕上がり具合を左右するのが刈込です。軒の出などは建物の雨仕舞いを 考えて出が決められます。

 

文字だけではなかなかイメージが伝わり難いのですが、写真資料も作成しています。次回解體新書で紹介させて頂ければと思っています。