ワープスティ

4月に入り、国土交通省から様々な補助事業の公募が始まっています。

例えば限界集落のような地域であれば、空き家が現に発生し、また、発生が見込まれる郊外型住宅団地を対象として、既存住宅の売買や賃貸化による利活用に向けた取組を実施する者に対し、国が必要な費用を補助することにより、既存住宅が循環利用されるストック型の住宅市場の実現を図ることを目的とした住宅団地型既存住宅流通促進モデル事業などに挑戦してみるのも1つかもしれません。

 

補助内容は、現に空き家となっている住宅及び現に居住者のある住宅のうち住み替え等の意向があるものについて、売買又は賃貸化により流通・活用を図るため、住宅の流通・活用に関する知識・経験を有する宅地建物取引業者、地方住宅供給公社、NPO等又はこれらの者を構成員に含む協議会が下記に掲げる1の取組を行うものであり、あわせて住宅所有者の意向や団地における必要性等に応じて、2又は3に掲げる取組を行うことになります。

 

1、 事業対象区域内の住宅の利活用実態の把握及び住み替えや住宅の流通・活用に関する情報の提供、相談への対応と住宅の利活用に関する意向の把握を行うとともに、当該住宅団地における商業、サービス業等の生活利便サービスや子育て支援、介護支援等の生活支援関連サービスに対するニーズを調査・把握すること。

 

2、住宅所有者が売買又は賃貸化の意思を示した住宅について、その売買又は賃貸化に資する取組を行うこと。

 

3、1の調査の結果、当該住宅団地において必要とされるサービスがあると認められた場合、当該サービス提供事業者を誘致する取組を行うこと。

 

地域の古民家再生協会や会員の会だけでは補助を受ける事は難しいので宅建協会さんを巻き込む必要がありますが、地域によっては2年前にご案内して中古住宅流通促進事業協議会へ参加いただいている古民家再生協会であれば宅建協会に賛同を求める可能性も高いかと思います。

 

国土交通省住宅・建築物に関する補助事業の公募についてはこちら

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000020.html

 

 

建築住宅業界は新築需要の衰退が明確であり、中古住宅のリフォームにシフトをしていく事は確実だと思います。不動産業界はどうかというと、全国に宅地建物取引主任者は約95万人おり、四国だけでも宅建協会所属の不動産業者は約3500社あります。新築が建たないという事は土地の取引も少なくなるという事で、土地建物の取引市場が縮小すれば不動産業界もじわじわとボディブローのように不況が訪れています。建築士資格同様市場規模の縮小で「宅地建物取引主任者」(「宅建」主任者)試験の合格率は近年16%程度と狭き門にもなっており、また資格者の地位の向上(消費者からの信頼を得る為に)「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」と名称を変更する案や、業務処理や信頼失墜行為の禁止、知識及び能力の維持向上及び、従業者の教育や暴力団排除規定の設置など規定の明確化を勧めようとしています。

 

また最近は定年退職された方を対象に地方に永住を目的にした移住ではなく、一時的に地方に住むワープスティ(ワープとは戻るという意味)というものを推進する動きもあります。これは5年間程度の定期借家権を活用し、5年程度のおためし移住を進めるものです。定年退職後子ども達が独立して夫婦だけが住む家を定期借家で貸し出して、地方の借家に移り住むというもので、自宅の賃料と地方の賃料の差額を年金だけでは不足する生活費に充てる事もできます。いままでの都会と地方の両方に住まいを持つ二地域居住とは違う新しい発想です。

 

古民家鑑定を実施した古民家であればこのようなワープスティでの貸し出しも可能になると思います。古民家に携る建築関係者が多い古民家鑑定士さんの建物に対しての知識と、不動産の流通のプロである不動産業者さんとの提携がこれから求められてくる気がします。