広縁 濡れ縁 縁側の区別

広縁、濡れ縁、縁側の区別について。


「広縁」は巾の広い建物外周面にある廊下で、「濡れ縁」は建物外部に設置された縁側部分である。


広縁は通常座敷の外に直線上あるいはL字型に配置され半間以上の巾を有するものが多く、広縁の外部に建具や雨戸が設けられる通路部分である。「くれ縁」ともいう。外部と座敷との緩衝空間であり、書院などを設置する際に必要となる。広縁を設ける事で夏場の日差しを遮り、座敷の温度上昇を防いだり、冬場の寒さを緩和させる機能を有すると共に庭などを眺めるための場所として利用される。


濡れ縁は建物外部の庭にむけて設置された固定の床で壁や雨戸などの無いもので、古民家の場合は屋根庇が長く、少々の雨では濡れにくい構造である。濡れ縁は外部にある為来客者と気軽にコミュニケーションを取る事ができる開放的なスペースであり、また冬場日の光で暖をとりながら休憩をとるスペースでもある。


縁側とは、建物の縁(へり)部分に張り出して設けられた板敷きの通路の総称で広縁と濡れ縁の総称である。人と出会い「ご縁」があったという場合の「ご縁」の由来になったともされる。また、道路に面して設置されるものには持ち運び可能な「縁台」や、町家に多い造り付けで収納可能な「ばったり床几(しょうぎ)」などがある。


広縁や濡れ縁は伝統構法の構造にも関係する部分になる。上屋(じょうや)と下屋(げや)という関係である。


伝統構法においては、主に小屋梁が上屋と下屋でレベルが異なって建てられているものが多く、この場合構造的には一体とは見なさず別構造と考える必要がある。耐震の補強をおこなう場合には上屋の外周部に耐力壁を配置すると高い効果を得られるが、下屋の壁に耐力壁を配置しても効果がないなどの注意が必要となり、古民家の耐震補強の場合には建物外周部分に壁を設置するよりも座敷きと広縁や濡れ縁との仕切り壁部分に補強をおこなう方が効果が高くなる。



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