地業

地業(じぎょう、ちぎょう)とは、建造物を安全に支えるため地盤に施される基礎工事部のこと。


地盤が強固で建物を支持することができるのなら、地盤面を極力平らにした後、根切り(ねぎり)と呼ばれる基礎を作るために地面に穴を掘り、岩石を打ち割って作った小さい塊状の石材である「割りぐり石」を小端(こば)立てに上下を楔状に交互に敷きこみ、目潰しや上端均しのために切り込み砂利を用いて敷きつめ、上から砂利を撒いて締め固める「割りぐり地業」をおこない、その上に自然石の礎石を敷き柱を建てる。割りぐり石の代わりに玉石を小端立てにし、切り込み砂利で間げきをうめて転圧する方法「玉石地業」もある。


割りぐり石を敷くための根切りには、建物全面にわたり掘る「総掘り」と、柱や束などを置く部分だけを掘る 「 壺(つぼ)掘り」や建物の壁などに合わせて細長く溝状に土を掘る「布掘り」がある。


根切り底に切り込みを入れて砂利をてん充し、切り込み砂を入れて付き締める「砂利地業」などもある。


また、地盤が弱い場合は、松などの杭を打ち込む「杭地業」をおこなう場合もある。


最近の住宅では割りぐり石が使われることは少なく、代わりに砕石(さいせき)が使われる。

割りぐり石は、径は200〜300mm程度、厚さは径の1/3〜1/2くらい。ただ、ツルハシで掘り起こさなければならないような硬い地盤や、逆に著しく軟弱で割栗石が沈んで行くような地盤には適さない。目安として長期地耐力で30〜150kN/㎡の範囲が望ましいと言われる。砕石とは割りぐり石ほど大きくない天然の岩石を破砕機等で人工的に小さく砕いたもので、自然の力で小さくなった天然砂利と砕石を比較すると、砂利は全体的に丸みを帯びた形状であるのに対し、砕石は角張った形状をしている。


古民家の場合には地業は地域によりやり方や材料も大きく異なり、また良好な地盤の場合には掘り返す事で逆に地盤を乱す場合があるために、地業を行わず地盤に直接礎石を敷いたものもある。


*割りぐり石=割栗石とも書く。


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