腐朽について2

今週は先週に続いて腐朽に関してです。今回は、建物に侵入する湿気の種類と腐朽防止のための対策について


地盤からの上昇する湿気、

地盤はもともと水分を含んでおり、床下の地面から湿気が上がってきます。床下の風通しを良くするか、防湿シートなどの地盤からの湿気の上がりを遮断する措置を取るなどの予防が必要です。


生活空間から降りてくる湿気

人は一晩のうちに約2Lの汗をかくそうですし、調理のためや暖房などで火を使うとそれも大量の水を空気中に排出します。室内の湿度が高くなると床下にその湿気がおりますし、浴室や台所などからの水漏れなども床下に降りてきます。

室内環境を湿気のコントロールが出来る自然素材の土壁や畳、柱が見える真壁からクロス張りの大壁などに改修した場合には換気回数を多くして湿気を排出することが大切ですし、水回りなどは定期的に漏水の検査を行います。


雨漏り、給排水管からの水漏れ

屋根や外壁からの雨漏り、また床下に敷設されている給水管や排水管が痛むと直接水が床下に広がります。漏水は給水管からの漏水は比較的量も多く発見も早いのですが、排水管の場合は発見が遅くなります。また古民家などの場合には土管を排水管として使用しているケースも多く、土管は1本の長さが短いため継ぎ目が多いのでその接合部分からの老推移などの可能性も考えられます。


外部からの湿気の侵入

冬場は空気が乾燥しており、床下の湿気は外部に出ていきますが、梅雨から夏場にかけては逆に空気中の湿気が床下に流れ込みます。また、大雨が降った際に床下が周囲の地盤より低い場合には雨が床下に流れ込みます。


そして最後は温度差による結露

ガラスのコップに水滴がつくように温度差が起こると結露が発生します。従来の伝統構法の床下は外気と同じ温度環境に近いためめったに結露は起こりませんが、改修を行い断熱材を入れたり、金物で仕口などを補強した際には金物が結露し、木材腐朽の原因になります。



腐朽対策としては、

構造的には、

通気を良くすること。湿気が排出されるように、床下の高さを高くして風が通る構造(伝統構法の礎石造りはまさにこれ)


柱などが外気に触れる構造(真壁構造)


調湿の効果のある建材を使用すること(土壁、畳、木)など


使用材料としては、

ヒノキ、ヒバ、クリ、ケヤキなどの腐朽に強い木材を使用する。

水分量が多く腐りやすい辺材(白太)より心材(赤味)を使用するなどでしょうか。


長くなりましたが、次週はシロアリについてです。


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