巻の五 古民家再生アプローチ


P264 古民家の再生には4つの方法があります。

 

1、現地再生

一度建物をすべて解体して造り直す場合もあれば、簡単なリフォーム程度で済ます場合もある。基本的な構造を変えずに建物の歪みなどを修正、腐った部分の交換や補修を行います。構造をさわらないので仕口などを加工する工事を減らすことで工期もコストも抑えることができます。建物を解体せずに建物全体を浮かせる嵩上げや横方向に移動する曳家(ひきや)を行う事もあります。

 

現地再生は更に全面的に再生する方法と、一部分を解体して再生する減築と、いわゆるリフォームとに別けられます。

 

2、移築再生

移動する建物は敷地の条件や間取りによっては一部を削ったり、増築したりする事も多く、この整合性を確認し、歪みを修復したりしながら全体のバランスを見るために、事前に仮組み(建前以前に梁組を中心に試験的に組み立てる)を行う場合が多い。

 

3、部分再生

部分再生は移築再生の一つと言えますが、敷地の関係などから新築と組み合わせたりして部屋単位で移築再生する事です。

 

4、古材利用

古材利用は解体された建物の梁や柱などを新築住宅の部材として使用したり、別の建物の古材を組み合わせて1軒の建物を建築したりする事で、仕口の加工は新しく行う必要があります。

 

P265に概念をイラストで示しています。


五の二 古民家再生工事の流れ

P267 古民家の再生は通常の新築工事などと比べて長くかかります。1年では終わらず2〜3年越しというものも少なくありません。余裕を持った期間で所有者にも工事の内容を伝え理解を求める事が大切です。

 

古民家再生の工事は設計者の行う基本設計や実施設計と、実際の工事を行う部分に分かれ、建物の大きさや周辺環境、所有者の意図により工事期間は大きく変わってきます。いずれにせよ1年以上の時間はかかってくるのでじっくりと腰を据えてかかる心構えが必要です。

 

全面再生の場合には2〜3年以上かかるのも珍しくはありません。

 

スケジュールはおおむね、基本的な間取りや仕様を決める基本設計に約2か月から長いものでは何年も費やします。細かな部分を煮詰める実施設計にも最低2か月。最初に行う現地調査をいかに行うかが基本設計の手間を減らす上で重要になってきます。実施設計は工事が始めると変更せざる状況も多く、施行中も設計者は積極的に関わる必要があります。概して現地再生よりも移築再生の方が解体して運搬などの物理的増加要因と、構造躯体などの不備を補う為の設計での計画を考える時間などが合わさり時間がかかります。

 

五の三 古民家再生の注意点

古民家再生は新築に比べて仕上がりの制限が多かったりして所有者とのコミニュケーションが充分でないとクレームに繋がりやすかったりします。

 

民家再生時の心得を書き出してみると、

 

所有者(建て主)の場合は、

 

・古民家再生の目的をはっきりとさせる

・設計者、施工者と現場でコミニュケーションを図る

・設計者、施工者への注文は優先順位をつける

・総予算を明確に提示する

 

設計者、施工者の場合は、

 

・古民家の調査を事前に綿密に行うこと

・現場監理を密に行うこと

・古民家が持つ文化や技術を後世に伝えていこうという気持ちを持つこと

・移築再生でも文化を引き継ぐ気持ちを持つことが大切です。

 

古民家再生時に忘れてはいけない事に周辺環境との調和があります。

外観のデザインや屋根の形や仕上げなどが周辺の環境と調和が保たれていない部分的な造形の奇抜さや、突出したデザインや色使いは控えるべきで、古民家というものは、開口部が多く外部と開かれた間取りは周辺環境と調和する事で成り立つ建物であると理解する必要があります。あくまで地域の街並を損ねないような仕上がりとする事が求められます。

 

五の四 移築の為の解体コストとは

移築を前提にした解体工事の場合は、部材やその他の資材も含めて再利用を前提に解体する必要があるので通常の解体工事よりも割高になります。

 

移築再生を目的にした解体工事は坪当たり最低5~6万円が一般的なようで、場合によっては8万円程度かかるのも珍しくないようです。それにプラスされ移築先に部材の運搬が必要になりますが、

 

また、部材は何でも持って行くのではなく再築する建物に必要なものだけを運び出すようにします。構造材については梁などの横架材も6割程度使えれば優秀で、柱などに関しては大黒柱やその他利用出来るものは再活用しますが、多くは高さの関係で新しい柱を使う事が多いです。

 

五の五 移築や再生を前提にした解体の仕方

P272 現地再生や移築の解体方法については古民家の解体においては、コストを考慮しながら解体の手順や工期を検討して、生取り(いきどり)と呼ばれる再利用することを前提に解体時に材を確保する方法を取ります。

 

現地で再生する場合は、部分修正補強工法と全解体工法と呼ばれる二つの方法があり、部分修正補強工法とは、基礎の打ち直しや柱の根継ぎ、土台や柱、梁などの交換や、歪みの修正などを行う解体補強の方法です。建物をできるだけ現状のままに保存修正し基礎を打ち直す場合、曳家(ひきや)と呼ばれる方法を用いると工期が短く、コストを抑える事も可能です。

 

全解体工法とは、移築再生の場合と同様に建物全体を一度解体したうえで全体または一部を再生していきます。

 

両工法とも、解体に当たっては、部材の損傷に注意して施工する必要があり、主に手作業が主となるために、古民家に関する深い知識とノウハウが必要になります。

 

工事の計画を立てる際には、

敷地の状態

近隣建物

周囲の樹木・庭石等の状況

作業重機や運搬自動車の進入路の幅などもしっかりと調べておく必要があります。

 

P276 解体前の準備としては、番付表と番付札の作成が必要です。

 

番付表は間取りを書き写し柱と梁の交点の縦横にそれぞれイロハの順番と数字の順番を付けていきます。番付札はできるだけ大きいものの方が視認性は高まります。番付札は白く塗装したベニヤ長方形にカットして黒で番号や部材名を書き、注意部分は赤で記入します。部材にとめる際、テープ類は剥がれやすく、また跡が残るので使用しないようにして、釘などで落ちないようにしっかり取りつけます。

 

また、解体中の記録も大切です。

 

解体中に一つ一つの部材の腐れや反りの経年変化と取り付け具合、仕口、材質を調べ、部材の大きさや長さを記入する部材調書や、組み立て順や組み立て場所を表示する番付表の作成をおこないます。


五の八 写真で見る移築を前提にした解体の仕方

P286 移築を前提とした解体の様子の写真を掲載しているので確認下さい。


五の九 古材鑑定書について

古材鑑定書とは古民家鑑定が建物全体の状態を調査するのに対し、簡易的に構造材=古材の鑑定を鑑定書発行費用1万円(消費税別途)を所有者から古材鑑定士は受け取り発行します。発行に際して資格発行元の住まい教育推進協会が無料で行ないます。これは古材鑑定士資格を持ったものがおこないます。

 

古材鑑定士は、先代からの大切な古民家に使用されている古材の価値を評価

古材鑑定士は、長年住み続けた古民家に使用されている古材の価値を専門的立場より評価致します。

 

古材鑑定士になられる方は、例えば住宅会社・工務店・設計事務所(建築士)にお務めの方

 

専門職として、お客様と出逢うきっかけに・・・

古民家に使われている古材や古建具など想い入れはあるが、どこに頼めば良いか解らないお客様は想像以上に多くいらっしゃいます。古材鑑定士として古材を活用する為に価値をお客様へお伝えし、想いを残したいお客様と出逢うきっかけになります。

 

そして解体業を営まれる方

 

捨てられる古材に付加価値を付け他社と差別化を・・・

『捨てれば廃材 活かせば資財』と言われるように、古材には大きな可能性を秘めています。

より古民家解体の付加価値として取り入れお客様に喜ばれる解体事業に適しています。

 

古民家鑑定に比べて調査する項目は少なく、建物の大きさ、築年数以外の確認事項は20項目です。P289からその20項目を記載しているので確認してみてください。

 

古材鑑定士についてはこちらのサイトから確認下さい。

http://www.kozaipro.org

 

五の十 古材を構造材として使う際の留意点

P294 古材を新築住宅や古民家の再生などに関して建築基準法の関わりを説明しています。

 

主要構造部と「構造耐力上主要な部分

 

「主要構造部」とは建築基準法 第2条5号の用語の定義で「壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、掲げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。」とされ、

 

「構造耐力上主要な部分」は建築基準法施行令 第1条3号で「基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版(しょうばん)、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。」とされています。

 

構造部材の耐久性

 

「構造部材の耐久」については建築基準法施工令第37条で「構造耐力上主要な部分で特に腐食、腐朽又は摩損のおそれのあるものには、腐食、腐朽若しくは摩損しにくい材料又は有効なさび止め、防腐若しくは摩損防止のための措置をした材料を使用しなければならない。」とされています。

 

構造耐力上主要な部分である継手又は仕口

 

「構造耐力上主要な部分である継手又は仕口」については建築基準法施行令第47条で「構造耐力上主要な部分である継手又は仕口は、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他の国土交通大臣が定める構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない。この場合において、横架材の丈が大きいこと、柱と鉄骨の横架材とが剛に接合していること等により柱に構造剛力上支障のある局部応力が生ずるおそれがあるときは、当該柱を添木等によって補強しなければならない。」「ボルト締には、ボルトの径に応じ有効な大きさと厚さを有する座金を使用しなければならない。」とされています。

 

 

具体的な補強の目安は、柱の欠損部分の補強については柱の欠損部分が柱の小径に基づき算定した所要断面積の3分の1以上ある場合はその部分を埋め木等で補強する必要があると、これは建築基準法施行例令第43条第4項に記載されています。

 

 

梁材等の横架材については建築基準法施行令第44条に「はり、けたその他の横架材には、その中央部付近の下側に耐力上支障のある欠込みをしてはならない」と記載されています。


五の十一 古材を構造材として扱う場合の補修の仕方

P297 古材を構造材として使用する際には、埋め木や金輪継ぎなどの技術を用いますが熟練した技術と木材についての知識が必要です。

 

古材の品質確認

古材の場合は表面がしっかりしていても内部が腐っている場合があります。木槌でたたいてチェックすることが必要です。

 

埋もれた金物

古材の表面に出ている古釘等は目立ちますが、材の内部に釘、金物等が隠れて入っている場合があります。大工さんのノミや製材機の刃を痛める可能性があります。市販されている簡易な金属探知機で前もって探知して除去することも出来ます。

 

部材修理のコスト

一般的に古材の部材の修理は0.5人工/坪を目安にしますが、ケースバイケースで大きく変わりますので注意が必要です。

 

柱の部分修理の方法としては埋め木が一般的です。基本的に同じ種類の木材で行います。杉の柱の埋め木には杉材を使います。同種材でも新材は含水率が高く、将来隙間があく可能性があるので、乾燥材が必要です。このため一般的には、その建物で使用されていた同種の木材を埋め木用に一部確保しておく必要があります。

 

根継ぎ

木材の欠点は湿気・水分に弱いことが挙げられるでしょう。古材で痛みの激しい部分は主に地面に近い柱の根元です。柱の下側の腐った部分を新しい材料に交換することを根継ぎといいます。継ぎ方は一般的に金輪継ぎが多く、また、材料は埋め木同様、同種の木材、特に一緒に使用されていた柱材の再利用がいいと思います。

 

P299から金輪継ぎ、四方鎌継ぎなどの継手の説明を入れていますので確認下さい。

 

五の十二 古材の分類と価格設定の基準

P302 古材の種類に関しては使用するニーズに合わせて独自に定めたので一般の木材とは少し違って来ます。

古材の分類は、
まず以前の建物で使われていた状態で梁材と柱材に大きく分かれます。地面と水平方向に使用されていたもの=梁

地面と直角方向で使われていたものを=柱と定義されます。

意外にも例えば床の間の落としがけなども地面と水平方向に使われていたので分類状は梁に属す形となります。そして、柱、梁それぞれが丸太と四角の形状に分かれます。
柱の四角は更に一番多く使われている管柱と7寸以上の大きさのものや、、ケヤキ・サクラなどの銘木を使ったものは大黒柱に分類され、丸み付きと呼ばれるものは茶室などで使われていたような角に丸太の樹皮が残っているものなどを指します。丸太柱とは玄関の軒先などに使われている丸太の柱や、床の間の床柱で丸太の形状のもになります。

梁材も四角と丸太に分類され、四角は製材され四面が平らなものを指します。差し鴨居や敷居、床框や2階の床が板張りなどの場合の甲乙組の梁などです。丸太形状はさらに長さ方向の形状で4つに分類され、直形状は丸太ばりで真っすぐなもの、曲がり形状は湾曲したアーチ状の形状のもの、鉄砲形状とはライフル銃のように真っすぐな部分があって最後に曲がっている形状を指し、うずまきねじれ形状とは螺旋状に曲がりながらうねっているような躍動感溢れる形状のものを指します。P303に一覧の図を掲載しているので確認して理解してください。

価格設定の基準もP303から一覧表としてまとめています。概略は針葉樹より広葉樹の方が高く、真っすぐな形状より曲がったものや面白い形のものの方が高くなります。


五の十三 古材再活用の為の整備について

P306 古材の買取は古材鑑定士の行なう古材鑑定に基づいた価格で行なわれますが、それがそのまま販売価格となる訳ではありません。持ち帰られた古材は倉庫で分類され整備され販売されますが、市場に出す為にさまざまな事が行なわれて商品として生まれ変わります。その手順は、

釘を抜く、

洗浄、

販売価格の鑑定、

そしてネットに情報を上げます。

販売が決まれば、出荷の作業が始まります。

最初に磨きを掛け。

表面の保護や意匠性を高めるために塗装のオーダーがある場合は塗装をします。
塗装は古材専用塗料を使用します。

またヤング係数も測定します。

出荷の際にはエアマットあるいはさらし布などで梱包します。


五の十四 嵩上げ(かさあげ)工事

P308 古民家再生のための基礎工事は新築の基礎工事とは異なります。再生の場合には基礎を作ったり、大掛かりな基礎の改修を行なうのであればあらかじめ基礎工事ができるように嵩上げ(かさあげ)をしておくことが必要です。

嵩上げ工事の目的は基礎工事をやりやすくするものですが、同時にかさ上げで基礎を作り替える事で床の高さを高く出来き居住性の向上にもつながります。

嵩上げ工事はまた高度な熟練を要します。
専門的にできる業種としては曳き家などを手がけている業者に依頼するのが一番確実です。また古い民家の場合は不同沈下を起こしているのでこの嵩上げ工事の折に再度レベルを取って建物の変形を元に戻すこともできる。しかしこれも限界があるので慎重に事前の計画を立てて施工する必要があります。

再生の基礎は次のような特殊な方法で行われる

1、建物を嵩上げ工事によって持ち上げ、その下で基礎工事を行う

2、建物をしばらくの間脇へ移動して新築同様の基礎工事を行い、終わってから建物を元の位置に戻す

3、町屋などの密集地では1、2の方法がとれない場合には柱の根元を切り上げて土台を入れて基礎を打つ(ベタ基礎)


五の十六 古民家再生の平面計画と作図

P315 古民家再生の成功の為には特に初期の計画が重要です。ユーザーへのヒヤリングを元にどのような生活提案を行なえるか平面計画を練り上げる事が大切です。伝統構法や在来構法どちらも壁を撤去して大胆な間取りの変更が行なえますが、強度面についての検討は必ず行なうようにしましょう。

基本計画では、

1.建物の規模

2.予算

3.工事期間(工期)の3つを常に意識しながら進めます。

プランは

1.間取り

2.立面図での外観

3.内部が確認できる断面図や展開図

などを用いて生活動線、住み心地、意匠性などをユーザーに確認していく作業となります。

図面だけではイメージは伝わりにくいので、特に内部はパースなどで表現してあげるとユーザーにもイメージは伝わりやすいと思います。プロとして生活動線や住み心地や意匠などを加味しながら構造的な理解のもとに間取りを提案していく必要があります。

大きな古民家の再生

間口が広い古民家でも奥行きが短い場合には直線的な間取りでプランを作るのに困難な点はあまりありませんが、間口、奥行きとも広い大きな古民家の場合は採光や通風などの処理に工夫が必要になります。建物の中央に位置する部屋はとかく暗く風通しが悪くなりがちだからです。この場合には天窓を付けたり、腰屋根などで屋根に明り取りを設けたり、場合によっては中庭などのスペースを確保して明るく、風通しのいい間取りにする必要があります。

また建物が大きいと当然工事コストもかさみますし、古民家の北側などにはプライベートな寝室や納戸などが何度も増築されている場合などはこういう増築部分は解体して除去し、思い切ったすっきりとしたプランにするのもお勧めです。

いずれにせよ、大きな建物はコストや住み心地などの両面からアプローチするのと、現状の大きさで再生するのでは無くて減築するなどの方法で提案するのがいいと思います。

偏心の注意点

耐震を考える上で建物の重心の位置は重要です。平面上で地震や台風などの水平に変形を加えようとする力にいかにバランスよく力を受け止め対抗できるか、壁の位置や部屋の大きさなどの配置で偏心という考え方が出てきます。古民家の場合開口部や間取りの長所を生かして再生しようとすると偏心の問題が発生します。水平力に対抗できる耐力壁をバランスよく配置できる間取りを検討すると共に、配置に偏りがある場合には耐力壁の量、長さを増やすと共に下がり壁などの二次壁(雑壁)を出来るだけ多く設けたり、足固めなど基礎部分でしっかり固める必要があります。

二次壁(雑壁)
建物の壁で耐力に影響が少ないとされる壁。腰壁・垂壁・袖壁などはこれらの壁の存在で偏心率が影響を受ける事があるので適切に処理する必要があります。


五の十七 古民家再生の為のユーザーへの提案方法

P322 古民家再生などを提案する際には図面だけでなく完成のイメージをユーザーが持ちやすいパースなどを活用するのがいい。パースもパソコンで作成するものが主流ですが、逆に手書きのパースの方が暖かみが出て古民家の雰囲気とも合うので是非書き方をマスターして活用して頂きたいと思います。

 

手書きは古材の質感を表現するにも最適で、3Dパースのように細かな部分まで表現しなくても良いので逆にファジーな雰囲気を表現でき、夢が膨らむ提案が可能です。強調したい部分(例えば古材)が印象に残ります。講習ではパースの勉強もありますので半日でその基礎を学んで頂ければ簡単に描くことも可能です。是非提案ツールとして活用してください。

 

パースを描く技法には大きく分けて、一消点、二消点、アイソメなどの方法があり、着色する場合と線画の場合があります。提案の内容や期限などを考え最適な方法を選択することが大切です。

 

パースの種類

1.透視図 

一消点図法(平行透視図法) 室内空間を描くのに適している

 

二消点図法(有角透視図法) 住宅の外観や室内のコーナー部分を描くのに適している

 

三消点図法(斜透視図法)   高層建築の外観を描くのに適している

 

 

2.俯瞰図(鳥瞰図と同じ)

 

軸測投影法 アイソメ(アイソメトリック 等角投影図)

      アクソメ(アクソメトリック 不等角投影図)

      室内空間をはじめ水周りや収納部分などいろいろな場面を描ける

 

斜投影図 家具などの表現に使われる

 

 

パースを描くための用具はP32ページから記載していますので確認しておきましょう。

 

パースは線で描いただけでなく、必ず着彩までしましょう。色が人に与える効果は大きなものがあります。営業パースのパワーには必ず必要です。着彩は基本的には広い部分、明るい部分から塗ります。

   

パースはその画角をどう取るかで与える印象も変化します。P335に記載しているのでVP点の取り方で床、壁、天井の見え方が変化することを確認しておきます。