八の十四 外壁の調査項目について


P561 外壁は雨や風、寒さや暑さなどから守ってくれる大切な部分です。地域により固有の使用部材の構成があり同じようなデザインを採用する事で昔の街並は統一感がありました。現在の住宅は様々な素材を使う事で個性ある家づくりができますが、街並の美しさを失ってしまったと思います。外壁は表面的な損傷か下地迄に及ぶ損傷かの判断が行える必要があります。


土壁(つちかべ)は、伝統構法の壁の事で、土を用いて作られた壁で土のままのものや漆喰などを表面に塗って仕上げられた壁などがある。板壁でも内部は土壁などで造られており、断熱材や防火材料としてとして土が用いられている。土壁には、他の呼び方として、塗壁、左官壁、日本壁など様々な呼称があるが、明確な定義付けは行われていない。一般には木舞(こまい)と呼ばれる格子状の枠に土を塗り重ねた壁を指して用いられることが多い。土壁に似た言葉で土蔵といういい方があり、土蔵とは日本の伝統的な建築様式のひとつで、外壁を土壁として漆喰などで仕上げられる様式で作られたものを土蔵造りや蔵造りなどという。在来構法の場合には土壁が使われる事は少なく断熱材などが入れられている。

P563 外壁は柱表わしでモルタル塗り仕上げとなっている。モルタルとは、砂とセメントと水とを練り混ぜて作る建築材料でセメントと砂とは重量比にして1:2〜1:3の割合で混合されることが多く、ペースト状で施工性が良く、仕上材や目地材、下地の不陸の調整などに用いられる。コンクリートとの違いは砂利が入らない事で、クリープ現象と呼ばれる伸縮を起こしやすいため住宅の外壁に使用する場合は塗装などを施される事が多い。


P564 外壁並びに軒裏のシーリング材の交換が必要な状態である。シーリング材はコーキング材とも言われ、材料のつなぎ目にあえて隙間を設けて施工し気密性や防水性を高める為に充填されるパテやコーキング材の事を指します。建築用シーリング材(コーキング)の規格は、JIS A 5758で規定されている。シーリングと呼ぶかコーキングと呼ぶかの区別は、あらかじめ形が決まっているものをシーリング材と呼び、チューブ容器などに入っていて専用の押出し機であるコーキングガンなどで施工する樹脂性の物をコーキング材と区別する。コーキング材はシリコーン系、変性シリコーン系、ポリウレタン系などの樹脂が想定された用途ごとに使用される。施工直後は弾力性があり性能を発揮するが、経年変化により硬化や劣化をおこし性能が低下するので定期的な交換が必要です。


P568 外壁の北側に藻や黒ずみが発生している。外壁は雨などの影響で藻や黒ずみを起こす。緑色の藻などは日当りの悪い部分で繁殖し不快感を与えるだけでなく人体への悪影響も懸念される。黒ずみは排気ガスなどの汚れが窓ガラスにに付き、雨で表面を流される事でサッシの両隅から垂れて黒くシミになるものや、建物北側の日が当たらない場所では黒カビが繁殖し黒ずんだりする。簡単な黒ずみなら水で洗い流せるがその際には水を上から下に流すように注意が必要です。