小原二郎さんが書かれた「木の文化をさぐる」という本の中で法隆寺の古材は新材より強く、木は切り倒されてから200〜300年圧縮強さや剛性がじわじわ上がり、その後緩やかに強度が落ちると書かれています。バイオリンなどは古くなる程音が冴えてくるのはこの材質の変化によるものと書かれてもいます。
一般的に建築の構造に使う素材、鉄やコンクリートなどは経年変化により強度が落ちる物ですが、木材だけは別で、経年変化により強度が上がり、故に木造建築は長寿命なのだと思われます。樹齢100年のヒノキの場合は伐採後100年で最も引っ張り強度や圧縮強度が増すという研究結果があり、その後200年から300年はその強度を維持し、800年から1200年後に強度が落ちると…
日本最古の建造物法隆寺は約1300年ぐらい建っていますが、それでもまだ尚建てた時と同じ程度の強度をその構造材を持っているのです。
日本は資源の乏しい島国ですから昔は持続可能な社会でした。経済学者のハーマン・E・ディリーは、持続可能な社会について下記の3原則を示しています。
・ 再生可能な資源は供給源の再生速度を超えることなく利用する。
・ 再生不可能な資源の利用の速度は再生可能な資源に転換する速度を超えないように利用する。
・ 汚染物質の排出速度は環境がそうした汚染物質を循環し、吸収し、無害化できる速度を超えないように
しなければならない。
とされています。江戸時代はほぼ国内の資源で自給し、上記の三つを満たした持続可能な社会でした。現在は果たしてどうでしょうか、また今後私たちは持続可能な社会を作る必要は無いのでしょうか…
いまさら江戸時代に戻ることはできませんが、先人たちの知恵を学び活かすことは大切なことだと思います。古民家に使用されている材料は、基本的に全て持続可能です。木材、土、植物、民家の構成部材のほとんどは自然素材であり周辺で採取が可能であり、また再利用ができます。
古材の場合は新しい木材よりもむしろ経年したものの方が強度も増していますし、古い土のほうがバクテリアが多く、藁の発酵を促進すると言われています。植物は再生される期間より長く使用すれば再生可能な資源であり、地産地消であれば輸送コストをかけずに環境負荷も小さくできるのです。また、その建築構法も経年変化により変化する金属をほとんど使用しない上に継ぎ手などの分解が可能な接合技術で組み上げられているため、リユースを前提とした解体も容易に可能となります。
また、木材も腐朽菌により地面に近い部分などから腐っていきますが、根継ぎなどの補修技術を用いることで劣化を一部分にとどめ、全体の寿命には影響を及ぼさない持続性を保つ事ができます。
襖や障子で簡易に間仕切る田の字の間取りは可変性に富み季節や生活スタイルに合わせて何度でも間取りを変更する事が可能で、それ自体にも出来るだけエネルギーを浪費しない工夫があります。
材料・工法・維持管理・そしてライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるのが、古民家の真の価値だと思います。
また、古民家は夏を快適に過ごす為の住宅ですがその為の様々な工夫をP53に抜粋しています。
古民家の軒先が長い理由…
屋根がなぜ藁葺きなのか…
古民家の外壁が白い漆喰である理由…
壁がなぜ煉瓦造ではなく土壁という工法をずっと採用して来たか…
庭に池がある理由…などです。
それ以外の古民家の工夫の数々を考えてみてください。
例えば、床下が高い理由…
壁の無い建具が多い理由…
室内が暗い理由…、
京町家に通り土間があって中庭などがある理由全て日本の気候風土に合わせて且つ長寿命となる家造りの工夫の数々です。
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