黄金比

建物が美しく見える比率について。

 

古代ギリシャ時代から彫刻などに使われ、レオナルド・ダ・ヴィンチも発見していた記録が残っている最も美しく、最も安定するとされる比率「黄金比」(ゴールデンセクション)。近似値は約1:1.618、約5:8の割合になります。「黄金比」という用語が文献上に初めて登場したのは1835年刊行のドイツの数学者マルティン・オーム(オームの法則で有名なゲオルク・ジーモン・オームの弟)の著書「初等純粋数学」で1830年頃に誕生したと考えられています。

 

黄金比はパルテノン神殿やピラミッドといった歴史的建造物、美術品の中に使われており、自然界でも植物の葉の並び方や巻き貝の中にも見付けることができるといった主張もあります。

 

自動車ではスポーツカーのトレッド(輪距)とホイールベース(軸距)の関係が黄金比に近く、具体的には 1,500 mm 程度のトレッドに対し、ホイールベースが2,400 mm 前後取られ安定した形となります。

 

また身体寸法においても、足底からお臍(へそ)までの長さと、お臍から頭頂までの長さの比が黄金比であれば美しいプロポーションとされ、顔の目、鼻、口などの長さや間隔、細かな形態も黄金比に合致すれば美しいとされます。

 

現在でも、黄金比は、名刺やパスポートを初め、様々なカード類の縦横比に利用されており、コンピューターの

ディスプレイのアスペクト比には、WUXGA(解像度1920x1200)なども黄金比に近い8:5とされています。

 

また白銀比という1:ルート2(1.414)の比率も有り、これは紙のサイズ(A3、A4)などに使われています。

 

世界的に見てもっとも安定して美しいとされるこの黄金比は日本の建物でも見る事ができます。桂離宮の建物の外観は横幅1.618に対して高さが1となっています。

 

また日本建築において「木割」と言われるものがあり、床の間などで床柱の見付寸法を基準として、長押や落とし掛けなどの部材の寸法が決められています。具体的には、床柱の見付寸法=A、面取りされた内寸を=Bとすると、

長押や落とし掛けはBの幅、床框はB×2、違い棚の棚板と棚板の寸法もBとされます。

 

古民家もその長い歴史の中でもっとも美しく見えるプロポーションが完成しています。古民家がなぜ美しい形をしているかその秘密を発見すると共に、改修をする際にもそれを壊さない配慮が必要ですよね。