森林破壊という言葉を新聞やニュースで聞くたびに、残さなければいけないと誰でも思うのだと思う。
森林を守ることは我々の生死を守ることでもある。
その守らなければならない森林はどれぐらいあるのだろうか。
地球の表面積の約29%が陸地であり、そのうち森林が占める面積は31%の約40億ha。人口一人当たり0.6haの計算になる。日本は、世界有数の森林国で、国土の約68.5%を森林が占め、これは約72.9%のフィンランド、68.7%のスウェーデンに続いて世界第3位で、国土の面積の2/3に当たる2510万haが森林となっている。
森林面積が豊富なのはロシア、ブラジル、カナダとアメリカと中国などの大きな国土を持つ国家で全森林面積の50%を占める。また森林が全くない国も10カ国あり、その他54の国は国土に占める森林面積は10%未満しかない。
世界の平均は約31%、森林大国として名高いカナダは34.1%、環境先進国のドイツは31.8%、英国はわずが12%しかない。
欧米諸国の森林面積が少ない理由として、紀元前のヨーロッパは森林に覆われた土地だったが、農耕や牧畜、都市の建設などで多くの森林が伐採され、雨が少なく寒い気候のため森林の再生に時間がかり減少したとされる。そのために住居についても木造では無く、石造りの住宅文化が発達した。
日本はこの豊富な森林資源により木造建築が発達してきたが、この森林資源を大切に将来へ残す責任がある。
古民家の町並みが残る場所として伝統的建造物群保存地区(伝建地区)がある。古民家の定義となった有形登録文化財制度と同じく昭和50年の文化財保護法の改正によって生まれた制度である。
伝統的建造物群保存地区は昭和50年の文化財保護法の改正によって伝統的建造物群保存地区の制度が発足し、城下町、宿場町、門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存が図られるようになった。
市町村が伝統的建造物群保存地区を決定し保存事業を進めるため保存条例に基づき保存計画を定め、国は市町村からの申出を受け価値が高いと判断したものを重要伝統的建造物群保存地区に選定する。市町村の保存・活用の取組みに対し、文化庁や都道府県教育委員会は指導・助言を行い、市町村が行う修理・修景事業、防災設備の設置事業、案内板の設置事業等に対して補助し、税制優遇措置を設ける等の支援をおこなう。平成26年9月18日現在、重要伝統的建造物群保存地区は、88市町村で108地区(合計面積約3,760ha)あり、合計約26,200件の伝統的建造物及び環境物件が保護されている。
その選定基準は下記の通りとなる。
重要伝統的建造物群保存地区選定基準(昭和50年11月20日 文部省告示第157号)
伝統的建造物群保存地区を形成している区域のうち次の各号の一に該当するもの
(一) 伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの
(二) 伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持しているもの
(三) 伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示しているもの
写真は平成13年選定された石川県金沢市東山ひがし伝統的建造物群保存地区
重要文化財は、日本にある建造物、美術工芸品、考古資料、歴史資料等の有形文化財のうち、歴史上・芸術上の価値の高いもの、または学術的に価値の高いものとして文化財保護法に基づき文部科学大臣が指定した文化財を指す。
ユネスコ世界文化遺産「法隆寺地域の仏教建造物」の一部でもある奈良県斑鳩町にある法隆寺の中門と五重塔は国宝に指定されている。
都道府県別のベスト5は、
1.東京都 2,729件
2.京都府 2,144件
3.奈良県 1,311件
4.滋賀県 813件
5.大阪府 664件となる。
文化財には様々な指定に基づいたものがあり整理すると、
・有形文化財
・重要文化財
・国宝
・県指定重要文化財
・市指定重要文化財
・民俗文化財制度
・登録有形文化財
文部科学大臣が、国または地方公共団体の指定を受けていない有形文化財のうち、保存と活用が特に必要なものを「文化財保護法第57条」に基いて文化財登録原簿に登録する。登録有形文化財の指定基準である建築後50年を経過したものが本書でも古民家の築年数の定義としている。
木材は炭酸同化作用により太陽の光を光合成で吸収し空気中の二酸化炭素を固定する。それを焼却すると再び二酸化炭素として大気中に排出される。
カーボンニュートラルという考え方は、光合成を経て固定されたものが再び大気中に排出されたとしても二酸化炭素の総量は変わらない、環境中の炭素循環量に対して中立いう考え方で、木材などのバイオマス燃料を燃やしても大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えないため1997年の京都議定書でこの考え方が広く利用されるようになった。
しかし、2013年に開催された気候変動枠組条約締約国会議COP17のダーバン合意でこの考えは変更され「二酸化炭素の固定化」が推奨されるようになった。それが、カーボン・フィグゼイションである。
カーボン・フィグゼイションとは炭素固定と訳されるが、木材などを焼却せずにそのまま利用すること=「長期間固定する」ことが「二酸化炭素削減」につながるという考えである。
ある意味数字の言い逃れに使われていたカーボンニュートラルという考え方が改められたということで歓迎すべきことであるが、地球温暖化防止のためには今以上の二酸化炭素削減に取り組まなければならない。
古民家鑑定書や古材鑑定書には建物、木材に含まれる二酸化炭素量を表示しているが、これは焼却せずにそのまま利用する「長期間固定する」炭素固定(カーボン・フィグゼイション)そのものの考え方である。
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