築年数の特定の仕方

古民家鑑定では築年数の特定が必要で、築年数により建物のコンディションが同じでも価格表示は変わってきます。

 

築年数の特定の意味は、古いほど骨董的価値があり価格が上がる訳ではなく、あくまでその古民家が後何年使用できるかという視点で評価しています。

 

建物築年数を特定することで構造木材の強度変化並びに地元材で建てられたものか、輸入材の混入があるかなどの推測も可能です。輸入木材の代表でもある米松が初めて日本に入ったのは1854年のペリー提督が幕府に送ったのが最初とされますが、本格的に輸入が開始されたのは1923年(大正12年)の関東大震災後です。第二次世界大戦中は休止されたものの、戦後の復興期に戦中時に乱伐された国産材が成長するまでの代替材として輸入が再開され現在も続いています。

 

建物は経年変化により機能に関する劣化が当然発生し、雨水の進入防止の機能低下による構造木材の腐朽や蟻害の発生率も築年数が古いほど高くなります。また世代間継承の相続時において放置される建物も多く、傾向的には相続回数が多いほど放置される可能性は高くなっています。相続で放置される事によりどんないい建物でもコンディションは悪くなってしまいます。

 

建物の建築年を特定する作業は古民家の場合実は難しかったりすます。

通常建物の建築年を調べるには、建築時に提出される建築確認済証や、法務局で登記簿謄本を閲覧するか、あるいは銀行などからの借り入れの契約書などで確認ができますが、古民家の場合は建築確認済証が無く、登記がされてなかったり、登記自体借り入れが無く建築された場合には建築後かなりの期間が経過してから相続などが発生した場合に登記されたりすることも多く、建築年=謄本記載日とはならないので注意が必要です。

 

大雑把に築年数ごとのコンディションの平均的な形は、

 

築年数50年以上100年以下は、

木材の状態としてはまだ強度が上昇中と考えられ、また世代間継承が二世代から三世代程度の場合が多く、建物自体のコンディションも良好であることが多いが、空き家になって3年以降経過しているものは急速にコンディションが悪くなっている。

 

築100年以上150年以下は、

木材強度がピークを迎えるが、まだまだ再活用は可能です。しかしメンテナンスの履歴にも寄りますが、建物維持に関してはそれなりのコストも必要な時期に入っており、また空き家となっている可能性も高いため建物コンディションの把握が大切である。

 

築150年以上か築年数不明

重要文化財や登録有形文化財であれば適切な維持管理もおこなわれており心配は少ないが、一般住宅の場合空き家になっていたり、適切なメンテナンスがおこなわれていない可能性も高く、それに伴い構造木材やその他の経年劣化が進んでいる可能性が高い。

 

築年数の判断基準は

1、建築確認済証、登記簿謄本を所有者に事前に準備して頂く

2、所有者に聞き取りをおこなう

3、上記方法にて推定出来ない場合には小屋裏の墨書きなどを調査するか、近隣建物の同じ形体の建物などの築年数をヒヤリングし、推定します。

 

出来るだけ多くの古民家を未来の子ども達に残して行く為にも地域で古民家鑑定を増やし、各古民家の状態を把握して早め早めのメンテナンスが実施できるような体制づくりが必要だと思います。