礎石について

伝統工法の基礎は石場建て工法と呼ばれる自然石の上に柱を建てるものが使われている。自然石=礎石の上に直接柱を建てるもの(地長押や地貫、足固めと呼ばれる横架材が足元の開きを防止する)と、土台「敷土台(しきどだい)」の上に柱を建てる形式がある。


礎石に使用される石はJIS A5003で圧縮強度に基づき、規定が決められている硬石、準硬石を使用する必要があり。軟石は使用しないことが望ましい。最も適している石材としては花崗岩(かこうがん)、安山岩(あんざんがん)がある。


花崗岩とは、火成岩の一種で、流紋岩に対応する成分の深成岩(しんせいがん マグマがゆっくり冷えて固まったもの)石材としては御影石(みかげいし)とも呼ばれる。安山岩も火成岩の一種で深成岩の閃緑岩(せんりょくがん、深成岩のうち、主成分である無色鉱物が斜長石で、輝石、角閃石などの有色鉱物を約30%ものを指す)で、かつてひん岩と呼ばれていた岩石も含まれる。


1,石材の性質


吸水透湿性 石材は、水分を吸収する性質を持っており、地盤面の水分を吸い表面に染み出す場合がある。


強度 石材強度は圧縮、曲げ強度で表され、比重の大きな石材ほど圧縮強度は大きくなる傾向がある


摩耗性 

耐候性 石灰岩や砂石、疑灰石は花崗岩に比べ摩耗しやすく、耐候性も低い。


耐火性 花崗岩は石材の中では熱に最も弱く500度以上では急激に強度が低下するため火災にあつた建物の場合石材の種類を確認して場合によっては礎石を交換するなども必要となる。安山岩は火による劣化は少ない。


耐薬品性 石の種類により、耐薬品性に違いがあり、花崗岩はアルカリに対して強いが酸に弱い。



2,石材の欠点は、そり、亀裂、むら、くされ、欠け、へこみなどがJIS A5003で定められている。


そり 石材表面の曲がり、

亀裂 表面のひび割れ

むら 色調のふぞろい

くされ 石材中の簡単に削り取られる程度の異質部分

欠け 石材みえかかり部分の小さな破砕

へこみ 石材表面のくぼみ


欠点のある石材を使用する際には構造的に強度があるかを検討する。


3,形状

礎石として使用する石材は自然以外にも加工された角石、長石、板石などが使用され、石垣に用いられる間知石(けんちいし)などがある。

角石とは立方体状や台形状に加工されたものをいい、長石とは竿状の長さのある石(竿石は墓石の石を指すので竿石とは言わない)。板石は厚み60mm以上で幅が厚みの3倍以上のものを使用するようにする。


間知石とは6本ならべると1間(約180cm)になることから名付けられた短編が30cm前後の石垣や土留めに用いる表面は正方形~長方形であるが、背後に控え部分を持ち全体的に角錐型となっている。積み方によっては6角形の部材や野球のホームベースのような5角形の部材(矢羽)を上下端に使うこともある。


4,表面

石材の表面は自然石の場合「野ずら」と呼ばれる凹凸があるために木材部分を自然石の凹凸に合わせる「光付け」加工がなされる。加工された石材のばあいでも木部との摩擦が必要なので凹凸を残した「割り肌」か、びしゃんという工具を使い「びしゃんたたき」などと呼ばれる凹凸を残した加工がなされ、平滑には仕上げない。


キーワード

花崗岩

安山岩

石材には吸水透湿性あり

自然石、角石、長石、板石

野づら、光付け